コロナの影響で募集枠にチャンス
緊急事態宣言の解除から1カ月以上が過ぎた。例年なら夏休みを前に期末テストが行われる7月も、今年はようやく通学による対面授業が本格的に再開される段階である。
新型コロナ禍で多くのイベントが開催を中止・延期される中、普段は参加が難しい人気のプログラムにもまだ余裕があったりもする。
東京の男子中高一貫校・御三家の1つ「武蔵」と武蔵大学は、同じ学校法人根津育英会武蔵学園の下にある。根津とは東武鉄道グループの創業一族で、武蔵を通じてさまざまな教育関連での社会貢献活動を行っている。
その1つが、今回ご紹介する2014年から始まった「Musashi REDプログラム」で、REDとは、Research、Essay-writing、Discussionの頭文字からなる。自ら「調べた」事実を基に考えて、みんなで「話し合い」、それを「エッセー」にまとめて発表する。テーマは「科学」である。
一見、中高に導入されている探究型授業のようだが、一味違うのは、すべて英語で行うイマージョン教育のプログラムという点だ。だからといって、参加者が英語に堪能な帰国生というわけではない。最初は英語での自己紹介もたどたどしかった中高生が、自らの研究発表を英語で行うのだから、その変化に保護者も驚く。
武蔵は男子校だが、このプログラムは一般募集であり、他校生も女子生徒も参加している。今年は夏の「サマープログラム」が中止になってしまったものの、江古田キャンパスで一流の研究者を呼んで実際の実験等も行うプログラムは継続される。9月に始まり翌年6月に終わる「イブニングプログラム」に若干の余裕があり、7月4日まで募集期間を延長したという。週2回放課後に、武蔵学園江古田キャンパス(練馬区)に集う濃密な時間を経験できるわけで、科学分野の研究者を夢見ている中高生にとっては大きなチャンスである。
では、実際にはどのようなことを行っているのだろうか。中1生対象のG1、中2・3生のG2、中3生と高1生のG3という3つのグレードのクラスでの発表も交えながら見てみよう。