ジャニー喜多川さんの逝去から1年――V6から学ぶ、組織を長続きさせる条件

2019年7月9日、“キング・オブ・エンターテインメント”ジャニー喜多川さん(元ジャニーズ事務所/代表取締役社長・プロデューサー)が逝去した。あれから1年――新型コロナウイルス感染症の拡大で、人々の生活は急激な変化を余儀なくされ、エンターテインメント業界もまだ大きな打撃を受けている。そうしたなか、ジャニーズ事務所で、この2020年に25周年を迎えたグループがある。V6だ。彼ら6人の姿から、時代のキーワードである“ダイバーシティ”の本質を考えてみよう。(ダイバーシティ&インクルージョンマガジン「オリイジン」編集長、元「テレビ・ステーション」編集長 福島宏之)

7月9日…ジャニー喜多川さん亡き後の激動の366日

 “キング・オブ・エンターテインメント”ジャニー喜多川さん(元ジャニーズ事務所/代表取締役社長・プロデューサー)が鬼籍に入(い)って丸1年がたった。

 「もう1年」「まだ1年」――人によって、過ぎた時間への感覚は異なるが、この366日(2020年はうるう年)に世界規模で起きたことを顧みれば、「激動の1年」という言葉以外に形容がない。

 東京2020オリンピック・パラリンピックも開催延期となった“新型コロナウイルス感染症の拡大”は人類史に強く刻まれる厄災だが、他にも、国内では、京都アニメーションの放火殺人やホームレス殺害といった非道な事件、東日本の台風被害(2019年の台風15号・19号)、首里城の火災消失、九州地方の大雨被害などが起こり、芸能界では、闇営業・薬物使用・不倫騒動というネガティブな出来事が続いた。

 感染予防による休業や外出自粛は人々の働き方・学び方・暮らし方を変え、画面を介さなければ他者との会話もままならない日常は、時として、人と人のリレーションシップを弱めた。

 ウイルスが共生社会を分断する“緊急事態”な春だった。