加えて、「テレワーク実態調査後編(2020年3月)」の中でも、管理職が部下の業務進捗に細かく伴走する直接支援型マネジメントと管理職の業務ストレスの増(減)との相関が高いことがわかりました。直接支援型マネジメントの難易度が、テレワークで物理的に離れていることによってさらに高まっているのかもしれません。

 では、どうしていけばいいのでしょうか。ここでは2つお話ししましょう。

 1つは、業務改革を行うことです。働き方改革においては、「法律を守れ、部下に守らせろ、でも全部の業務をそのまま行え」と、管理職にすべてしわ寄せが行っています。これは管理職の気合で対処できるものではありません。だからこそ、管理職の皆さんが働き方を変えたり、テレワークを活用できたりするようになるには、業務改革が不可欠です。例えば、現在の業務工数を見直し、いる・いらないを考えて削減する。そして、意味のある仕事に集中するようにしましょう。

 2つ目は、管理職の意識改革です。管理職の中には役割を果たすために、無意識に長時間労働が必要だと考えている人がいます。つまり、「部下の業務を引き受けることが、部下の信頼残高を獲得する方法だ」「そうすれば、困ったときに自分を助けてくれる」と信じているのです。

 しかし、これをやり続けるのは今の時代、非常に厳しいところがあります。長時間労働ありきで部下の信頼を築く、業績を上げる方法以外の武器を持たなければなりません。

 現在の若手社員からは、自分の人生、生活を大切にできる上司が求められる傾向があります。当社の調査(「ボス充調査#1」2017年)を見ると、「仕事一筋の上司よりも、社外活動が充実しているほうが、魅力がある」と答えた人は、40代~50代では32.3%だったのに対し、20代では40.2%となっています。また「仕事は生活の中心」よりも「仕事は生活の一部」と捉えている人を理想の上司とする人は、40~50代では54.8%だったのに対し、20代では75.3%に上っています。また、前述の「テレワーク実態調査後編」の中でも、(部下の)自立支援型マネジメントがテレワーク下でのマネジメントの活路になりそうだと考察しています。

 このように今の上司は、部下から信頼される方法も変わってきています。思い切ってテレワークを大いに活用してみるのも一考です。信頼残高の獲得方法を変え、自分の仕事以外の人生も大事にしてほしいと思います。