新型コロナウイルス感染防止のため、急きょテレワークを導入した多くの企業では、メリットを実感する一方で、さまざまな問題に直面しています。今後、テレワークをうまく組織に取り入れるには、こうした問題に一日も早く取り組むことが大切です。そこで、これまで数多くの企業における組織の問題に向き合ってきた、リクルートマネジメントソリューションズ シニアコンサルタントの武藤久美子さんが、テレワークにまつわる「今・目下」と「これから」のお悩みにお答えしていきます。今回は、「管理職が『これから』を見据えて抱えているお悩み」を取り上げます。
【管理職のお悩み(1)】
コロナが終息したら
管理職だけが残業する状況に戻りそうです
Q.新型コロナウイルスが感染拡大する前には、一般社員の働き方改革を推進するため、管理職が仕事を引き受けて、一般社員を残業させずに帰宅させる流れがありました。コロナが終息すると、テレワークも終わり、そのような状況に逆戻りしそうで怖いです。
経団連加盟企業を中心に、今後も出社率5割を目指そうとする流れも生まれていますが、さまざまな企業にヒアリングをすると、今回のテレワークはコロナ禍での緊急事態対応であって、これからについては改めて検討する企業も少なくありません。すでに原則出社に戻っている企業もあるでしょう。テレワークが改めて検討される理由は、2つあります。
1つは、今回のテレワークを「一律に」「一斉に」「大規模に」「無理やりに」行ったことでひずみも起きており、出社とリモートの丁度良いバランスを見いだすための揺り戻しが起きていること。もう1つは、テレワークによって、部下の業務進捗に細かく伴走する直接支援型マネジメントを行う負荷がさらに増したからです。
後者については、ご相談にあったように、コロナ前から働き方改革関連法によって、一般社員の労働時間を短縮する流れが生まれ、そのしわ寄せはかなり管理職に来ていました。当社の調査(「『働き方改革』と組織マネジメントに関する実態調査<2020年3月>」)結果の中でも、働き方改革を推進する上での課題として、「部門・職種による状況の違い」と同様に「管理職の負荷」が挙げられています。要は管理職の働き方改革が進まなければ、テレワークができるような状態にならず、元に戻る可能性があります。