【管理職のお悩み(3)】
部下の成長のために何をすべきですか
Q.部下がテレワーク下でも成長できるようにするには、どんなことを管理職として行うべきですか?
ここでは、ポイントを3つ挙げてご紹介しましょう。
(1)仕事の「意味付け」「振り返り」をする
仕事を通じて成長するには、仕事内容そのものや、その仕事での役割、責任も大事ですが、忘れられがちで大事なこととして、その仕事を始める前と終わりに、仕事の「意味付け」を考えるということがあります。
仕事の意味付け(「担当する仕事の意味や意義に関する話をする」「職場や会社の将来に関する意見交換をする」)は働きがいに影響が大きいことが分かっています(参照:「ワーク・エンゲージメントに関する実態調査」2020年)。
一方で、すべての仕事に意味を付けるのは難しい側面もあります。「あの人の代わりにやってほしい」などといった仕事も当然あるからです。ですから、まとまった仕事が終わったら部下が振り返る機会をつくるようにしましょう。行った工夫、お客様の反応、気づきなどを振り返ることが、部下の力として蓄積されるでしょう。
(2)こまめに褒めるなど、一人ひとりに丁寧に指導する
コロナ前から若手社員を中心に、これまでの世代よりも、自分が会社の想像どおりに(想像以上に)成長できているか、よい速度で成長できているか気になるという方が増えています。上司から見て部下が十分に成長している場合、あまり言葉にして褒める人は少ないようですが、こまめに伝えるようにするとよいでしょう。テレワーク下では、より褒める機会が減りますから、意識して行うようにしてください。
当社が行った「新人社員意識調査2019」で過去10年間を比較したところ、理想の上司として「一人ひとりに対して丁寧な指導をする」人を挙げる人が12.8%増えています。弊社で新卒領域に携わる者は、この数字以上にそういう若者が増えている実感があるといいます。
とはいえ、前述のとおりテレワークによって、直接支援型マネジメントによる管理職の負荷が高まっています。管理職自身が心身の健康を保ちながら、若手社員を支援していきたいですね。
具体的には、業務そのものに細かく指示するというよりは、部下が自律的に仕事を進められるように任せ、部下の業務遂行に必要な情報を提供し、仕事ぶりを褒めるなど、頑張る部下の心の支えになるということが大事ではないでしょうか。
(3)業務外での学び直しを支援する
今回のテレワークの実施をきっかけに、オンラインでの社外セミナーも受けやすくなっています。また、働き方改革の影響で労働時間も減少し、成長の機会を全て業務内に期待するのは難しくなっています。ですから、学び直したい気持ちやいろんな視点を獲得する機会を持ち、「個人内多様性」を得るために、業務内外にかかわらず部下が学べるように支援してあげてください。
社外での学び直しに対して、「会社での仕事を通じなければ成長できない」「そんな暇があるなら仕事しろ」という風潮から、あまり会社の人には社外での学びの機会を言えない若手社員も少なくありません。ですから、上司から率先してそうした外でも学ぶ姿を見せてほしいと思います。これからの時代、成長を自分の業務だけから考えるべきではありません。