チェック項目(9)
取材アポイント不可対応

 第九は、取材アポイントが不可になること。アナリストや機関投資家は、決算発表後に取材アポイントを取って上場企業に対して取材を行っている。しかし、このアポイントが取れなくなる、ということを指す。

 滅多に起きない事態のため、起きた場合には、よほどの事情が生じたことになる。上場企業側がその状況を対外公表することはまずないため、この事態が生じた場合には、(1)業績が急速に悪くなったか、(2)対外説明できるIR(投資家向け広報)担当者が退職等で不在になったか、(3)増資等の財務政策の実施前でIR活動ができないか、のいずれかの可能性が高い。

チェック項目(10)
アナリスト予想の減少

 第十は、アナリスト予想の減少である。上場企業に対しては、アナリストが業績予想を記載したアナリストレポートを発行している。全ての上場企業に対してではないが、大手企業の場合には、複数のアナリストがアナリストレポートを書いている。アナリストの業績予想の平均値を市場コンセンサス予想と呼び、業績を予想する上での指標になっている。

 上場企業の業績が好調なときはカバーする(レポートを書く)アナリストの人数は増えるが、業績が悪化するとカバーするアナリストの人数は減る。黙ってフェードアウトしてしまうのである。

 アナリストのカバー人数が減るのは、アナリスト自身の都合だったり、所属する会社の業績が厳しかったりと理由はさまざまある。であるがただ、アナリストのカバー人数が急に減ることがあれば、その上場企業の先行きが悪くなると複数のアナリストが予想している可能性が高いだろう。

 上場企業であれば、自社コーポレートサイトに「アナリストカバレッジ」といったページを用意していることが多い。手間はかかるが、そこを定期的にチェックしておくと、アナリストたちの「声なき声」を拾うことができる可能性がある。

業績が悪いときほど
ステークホルダーを味方に

 上場企業のIRのセオリーは、「悪材料ほど早期開示」だ。新型コロナウイルスの感染拡大により、全世界が危機にさらされ、20年7〜9月期では、日本の上場企業の多くは業績悪化が鮮明になるだろう。企業業績が永続的に改善する会社はまずいないだろう。業績が厳しい時こそ丁寧な情報開示を心がけ、固定ファンを増やして行くことが今、まさに必要な取り組みと筆者は考えている。