欧米のこの「回転ドア」は、大学と役所の専門家間で多くの「政策ネットワーク」が形成されることにつながる。また、省庁のポストには学会の推薦ではなく個人で応募する。特筆すべきは、外国人研究者がポストに就くことがある。例えば、かつて英国の中央銀行であるイングランド銀行には、日本人も研究員として在籍していた(第20回・P4)。

 外国人を雇用すると情報漏洩の問題が生じるという向きがあるかもしれないが、日本国籍保有者しかいない日本の役所でもさまざまな事件が起こってきた。政策立案に重要なのは、国籍にこだわらず、真に優秀な人材を集めることだという考え方だろう。

 結果として、多様な学説を持つ専門家がしがらみなく政策立案に参画することになる。学説の間での「競争」が起こって政策案が磨かれ、政府の選択肢も増えることになる。

 次の改革案として、学会の重鎮を集める審議会の廃止を挙げたい。専門家を集めて首相官邸に助言する会議体を設置するならば、世界最先端の研究に参画している若手を集めるべきだ。リモートで世界中をつないで会議ができる時代だ。海外の大学で研究に携わっている研究者でも日本の会議に参加できる。むしろ、最先端の情報がリアルに入りやすくなる。また、外国人研究者でもまったく問題はない。

 学説の異なる研究者が対立し、提言が1つにまとまらなくてもいい。むしろ、両論併記で提言を政府に提出すれば、政府は政策決定に多様な選択肢を持てる。そして、提言は首相を座長とし、閣僚と経済ブレーンで構成される「経済財政諮問会議」で審議して、最終的に政府の政策となる形とする。

首相の「権限強化」を
今あえて提言する理由

 さらに、首相の「権限」をあえて強化することを提言したい(第183回)。1990年代以降の政治行政改革で首相の「権力」は圧倒的に強くなった。一方、首相の「権限」はいまだ十分に整備されていない。そのために首相官邸・内閣府に何もかもが集中するし、混乱状態に陥ることが少なくない。コロナ対策の迷走も、この首相官邸の混乱状態で起こっている。

 この混乱状態を解決するには、英国の首相が持つような、政策目的の達成のために柔軟に官僚機構を変更することができる「省庁の設置、分割、統廃合の権限」を日本の首相にも付与することだ(第25回)。