大規模な改修でやり直すことになれば、約2000億円、12年の年月がかかると説明したが、ほかにも理由があり、私も計画はいったん立ち止まって検討し直すべきだと思っていた。

 2017年の導入決定からだいぶ時間がたっているし、価格も当初は1基800億円とされていたのが、2基で2447億円になっていた。改修すればさらに増え、またレーダーの実験や性能の確認などで一体、どこまで費用が増えるのか見えない状況だ。30年間の維持経費も4459億円といわれているが、一方で、北朝鮮のミサイルの性能がどんどん上がっていてイージス・アショアだけでは対処できない状況になっている。

――導入を決める当時も、どの程度、対応できるのか、不安の声がありました。

 北朝鮮が16年、17年と、弾道ミサイルの発射実験を繰り返した。ミサイルが日本の上空を越えて太平洋に落下したこともあり、当時は国民の側も、早く対処できるようにすべきという雰囲気だった。

 海上自衛隊のイージス艦2隻が日本海に張り付いて24時間体制でレーダーで監視を続け、いざとなれば迎撃する体制をとってきたが、海上自衛隊にかなりの負担を強いることになっている。それに中国が海上基地を建設する南シナ海などの警備も必要だ。

 負担軽減のためにも、イージス・アショアを導入して、陸上からも迎撃体制を整備しようということになった。

 だがその後、北朝鮮がミサイル技術を飛躍的に向上させた。

 一度に数発以上を同時に発射したり、軌道を変えるイスカンデル型や極超音速滑空弾など、レーダーが捕捉できないような飛び方をしたりするものなど、北朝鮮は日本のミサイル防衛の穴を狙って開発している傾向がある。

 イージス・アショアを導入しても守り切れないということはみんなわかっていた。この際、しっかりとどうするかという議論をした方がいいと思う。