「マウスを使わずにパソコンの操作をする」。最近、この「脱マウス」への関心が高まっている。新刊『脱マウス最速仕事術』を上梓した森新氏は、その背景には、マウスとキーボードの間を手が幾度となく行き来する「時間のムダ」と「作業ストレス」の改善へのニーズがあると言う。森氏は独自に研究を重ね「脱マウス」のメソッドを開発し、年間88万回ものクリック数を削減、「年間120時間のムダ」を解消した。セミナーの参加者からは、「誰でもマスターできる!」と大好評だ。本連載では、満足度97%超のメソッドを凝縮した『脱マウス最速仕事術』(ダイヤモンド社)の内容から、時短に大きく貢献する「脱マウス」の技術をお伝えしていく。
[Shift]や[Tab]には矢印がついている
下にあるショートカットキーMAP にある[Shift]キーをご覧ください。上矢印のようなマークがついていることに気がつくでしょう。
一部の外資系パソコンメーカー製のキーボードでは、このマークがついていないこともありますが、大半のキーボードにはあるはずです。
いつも何気なく使っている[Shift]キーですが、マークがついているからには何かメッセージがあるはず。いったいどんな意味だと思いますか。ヒントとして、次の操作を行ってみてください。
- ・ワードやメモ帳など文字入力ができるアプリを開く。
- ・「-」(マイナス)を入力する。
- ・「=」(イコール)を入力する。
注意点は、「まいなす」や「いこーる」と文字入力して変換しないことと、テンキーの[-]や[=]キーを使わないことです。半角英数のモードで記号として入力してください。
ほとんどの方が、問題なく入力できたでしょう。「-」は、半角英数モードで[ほ] のキーを押すと入力できます。
「=」の入力にも[ほ]のキーを使いますが、今度は[Shift]キーも一緒に押します。たいていの人は無意識に左手で[Shift]キーを押したはずです。
このように「-」と「=」は、いずれも[ほ]のキーを使って入力します。その[ほ]のキーを見ると、「ほ」のほかに上下に分かれて「-」と「=」も記されています。
そして、上にある「=」を入力したいときは、上矢印のマークがついた[Shift]キーと一緒に押すというしくみになっています。
「-」と「=」のように1つのキーが2層に分かれているときに、上側(2階)の記号の入力には[Shift]キーを使います。これを表しているのが[Shift]キーについている上矢印です。このマークのメッセージはとても役に立つので覚えておいてください。
マークがついたキーはもう1つあります。[Tab]キーです。[Tab]キーには上に左矢印、下に右矢印がついています(一部のキーボードを除く)。
このマークも1階が右矢印、2階が左矢印と考えてください。
これがどのように働くか、エクセルの例で説明します。エクセルのワークシートを開いて、どこかのセルを選び[Tab]キーを押してください。
[Tab] キーだけですから、1階部分の記号を使います。キーを押すと記号の通り選択セル(選択した状態のセル)が右方向へ移動します。下の図ではC2 からD2へ選択が移動しました。これが右矢印の部分の働きです。
2階部分の記号は[Shift]キーと組み合わせると使えます。[Shift]キーの上矢印の作用を利用するわけです。エクセルで[Shift]+[Tab]キーを押すと選択セルが左方向へ移動します。
[Tab]キーの動きは、アプリによって少し違いますが、時計回りにセルやカーソルを移動するイメージで覚えるとよいでしょう。[Shift]+[Tab]キーなら反時計回りになります。
動きを見てみましょう。メール作成画面を開いてみてください。本文の欄をクリックしてカーソルを置きます。その状態から[Shift]+[Tab]キーを押すと、押すたびに「件名」→「BCC(表示している場合)」→「CC」→「宛先」の順にカーソルが移動していきます。(図ではアウトルックで例示します)
さらに続けて[Shift]+[Tab]キーを押して行くと[BCC]ボタン(表示している場合)→[CC]ボタン →[宛先]ボタン →[送信]ボタンに選択が移動します。「CC」のあたりは一度下方向の動きも入りますが、全体としては反時計回りのイメージで動いていくのがわかるでしょう。
[Tab]キーでは、アプリが決めた順にカーソルあるいは選択が移動し、[Shift]+[Tab]キーを押すと、その逆の順に移動するわけです。メール画面で例示しましたが、ほかの多くのアプリでも同様の規則性があります。