就労移行者は「職場」に定着できているのか?
しかし一方で、数字の細部を見れば、全国に約3400ある就労移行支援事業所の各々の移行率には相応の差異があることが分かる。2016年(平成28年度)のデータによれば、移行率0%――つまり、利用者(主に障がい者)の誰も就労できなかった施設が、実に全体の約30%を占めているのだ出典3。
また、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構の調べでは、就労した精神障がい者の就労1年後の職場定着率は約49%で、せっかく就労しながらも、約半数が1年以内に職場を去っている事実が垣間見れる。
就労移行支援を行う事業所は、就職後6カ月間は就労者との面談(対面)や電話連絡といった「継続支援」を行い、離職を避ける努力をしている。それでも、症状の悪化や仕事のストレスなどにより、職場を離れてしまう者が後を絶たない状況だ。
前述のように、就労移行支援の最長利用期間は2年だ。原則として、2年利用してしまう(積算含)とそれ以降は就労移行支援サービスそのものを受けることができなくなってしまう。企業にとっても離職者の出現は大きな痛手であり、できるだけ長く働く障がい者の雇用を実現したいはずだ。そのために、企業には就労移行支援事業所とのいっそう密な連携が必要となる。