就労移行支援の利用者は今後ますます増えていく

 次に「就労移行支援」の具体的な数字を見てみよう。

 2017年(平成29年度)の利用者は全国で3万3757人。身体障がい者8%、知的障がい者33%、精神障がい者58%、その他1%となっている出典2。そのうち、一般就労への移行者(企業などに就職できた者)は8906人で、利用者の26.4%にあたる。この「就労移行支援利用者の一般就労への移行率」は、2015年(平成26年度)が22.4%、2016年(平成28年度)が25.1%……と、年々、利用者数とともに数字を伸ばし、一般企業による障がい者雇用の高まりがこの数字推移からもしっかり見て取れる。

 実際、ある就労移行支援事業所(東京・新宿区)のサービス管理責任者は「コロナの影響で状況はやや変わりつつあるものの、企業の問い合わせやニーズが増えているのは明らかだ」と語る。

 法定雇用率を満たす企業には、調整金として1人超過あたり月額2万7000円(常用労働者数が100人超の企業の場合)が支給されるが、法定雇用率が未達成の企業は不足人数1人につき月額5万円(常用労働者数が100人超の企業の場合)を納付しなければならない。企業にとっては納付額の多寡よりも、公共職業安定所(ハローワーク)による指導や社名公表のリスクを避けたいのが本音であり、いまや、ダイバーシティ&インクルージョンの姿勢を重んじるビジネス社会において、障がい者雇用に積極的なのは当然の理なのだ。

 こうした状況から、令和の時代は、就労移行支援の利用者も、一般就労への移行率もまますますアップしていくことは間違いないだろう。