企業による障害者雇用の状況は、まだ道半ば

 2018年(平成30年)3月に厚生労働省が告示した「障害者雇用対策基本方針」には、「就労支援及び定着支援の更なる充実を図ることや、職場定着支援や生活面も含めた支援等により、障害者の雇用の継続・安定を図りつつ、障害の種類及び程度に応じたきめ細かな対策を、総合的かつ計画的・段階的に推進していくことが必要である」と記されている。

 2020年7月現在、この基本方針に則った障がい者の就労移行支援と企業による障がい者雇用は、まだ道半ばだ。

 一般社団法人 精神・発達障害者就労支援専門職育成協会代表であり、医療法人社団欣助会吉祥寺病院にて医療型の就労支援を行っている清澤康伸氏は次のように語る。

 「人事担当の方も含め、企業は障がい者の病状のことや障がい者雇用についてとてもよく勉強をされています。ところが支援機関側は、利用者の送り出し先である企業についての勉強が足りなかったりします。企業の論理を知らずに就労支援を行ってしまう支援機関が少なくありません。そのため、企業と支援機関では障がい者雇用についての認識に温度差があるように感じています。また、国内において、体系的かつ具体的な就労支援のノウハウを習得するためのインフラが整備されているとは言いづらい状況があります。就労支援員の定義も明確になっていません。そのため支援員の質が担保されていないことで支援にばらつきが出ています。支援員の質が担保されていないことや企業を知らずに就労支援を行うことで、就労率だけでなく、定着率も悪くなります」

 次稿(障がい者雇用のいま〈2〉)では、国内ではまだ珍しいが、今後の障がい者雇用の中では重要なカギとなる“医療型就労支援”を行う清澤康伸氏へのインタビューをもとに、就労移行支援機関と障がい者と企業の理想的関係を考えてみる。

出典1:厚生労働省障害者の就労支援対策の状況
出典2:平成31年2月発表資料 厚生労働省 障害福祉サービスにおける就労支援
出典3:平成28年4月 厚生労働省障害福祉課調べ「就労移行支援事業による一般就労への移行率別の施設割合の推移」

※本稿は、現在発売中のインクルージョン&ダイバーシティマガジン「オリイジン2020」からの転載記事「さまざまな障がい者の雇用で、それぞれの企業が得られる強み」に連動する、「オリイジン」オリジナル記事です。