今年も大規模な豪雨災害が起こるなど、コロナ禍での新たな災害発生は現実のものとなっており、懸念されている巨大地震もいつ起こるかわからない状態です。今ある企業の災害対策マニュアルでは、複合災害に対応できない可能性があります。そこでプリンシプルBCP研究所の林田朋之所長が、withコロナ時代の今必要な「災害対応マニュアル」で見直すべき6つのポイントを解説します。
過去の災害対応マニュアルは
withコロナの今、機能しない
日本では、地方で大きな地震(震度5強以上)が起こると、その直後から東京や大阪などにある企業の総務担当者が、食料や水などの災害備蓄品を買いに走る光景をよく目にします。
日本企業における古くからの危機管理の問題点として、地震が起こった際には地震の対応だけ、大雨が降ったらその対応だけと、常に目線は目先の「一つの災害」にだけ向けられていることが挙げられます。何年もの間、ある種類の災害が起きなければ忘れられ、優先度は下がり、管理の仕組みも弱体化し、訓練もなく、マニュアルは陳腐化していく……。
昨年まであれだけ発生が心配されていた日本を襲う巨大地震、例えば南海トラフ地震や首都直下地震は、コロナ禍が過ぎるのを待ってくれているわけではありません。もちろん今年も既に豪雨による被害が頻発し、秋には風速70 m/sを超えるスーパー台風もやって来そうです。
こうした中、いままでに策定した震災対応マニュアルや自然災害対応マニュアルは、「with コロナの複合災害」発生時に機能するでしょうか?
当研究所では、災害対応マニュアルにおいて、以下の6つのポイントで見直しが必要だと考えています。
(1)帰宅者、帰宅困難者への対応
(2)対策本部会議の実施方法(リモート会議の運営)
(3)従業員の安否確認内容の追加
(4)災害発生時のトイレ回りの衛生管理
(5)若年労働者へのメンタルケア
(6)危機管理事務局の作業と訓練の見直し
それぞれについて詳しく見ていきましょう。