(1)帰宅者、帰宅困難者への対応
地震が発生した場合、徒歩帰宅する従業員が途中の避難所で食料や水を補給することがあると思います。こういったシーンにおいて、しっかりしたコロナ感染防止対策が行われていないと感染リスクが生じます。帰宅する従業員に対しては、感染防止のために、余分のマスクや、水道やせっけんがなく手洗いができない時のための携帯用ウェットタイプのアルコールタオルを渡すことが有用です。
また帰宅困難者は、オフィスに3日間程度寝泊まりすることになりますが、コロナ前までのマニュアルや手順書での就寝スペースは三密状態になっていたかもしれません。三密を避けるために、社会的距離を少なくとも1.5m程度開けた就寝用のレイアウトを考えたり、個別のテント、追加のスペースも用意したりする必要があります。
もちろん3日間分の食料や水、トイレ処理剤は準備されていると思いますが、マスクや消毒液は十分に足りているでしょうか。改めて点検してみてください。
(2)対策本部会議の実施方法(リモート会議の運営)
実際に災害が起きた場合の対策本部の様子は、これまでの想定とはかなり様変わりすると考えられます。特に取締役や役員の方々は高齢者が多く、中には基礎疾患がある方もいらっしゃると思います。そうしたケースでは、対策本部や各役割グループの会議をリモートでできる方法を今から検討しておきましょう。
この場合のポイントは、危機管理の事務局としての会議のホスト役が複数の環境でシステムをセットアップできるかという点と、その訓練です。通常、平時と同条件なら問題ありませんが、オフィスに電気がなく、インターネットは携帯(LTE/4G/5G)のみという条件の中で、ホストとしてシステムを立ち上げられるでしょうか。
PCが動く場合、スマートフォンだけで動かさなければならない場合など、複数のシーンを想定し、訓練を併せて実施しておくべきです。そうした状況では、お互いに作業や報告を確認できる企業内の災害ポータル(SNS機能付き)の運用が有効です。