(5)若年労働者へのメンタルケア

 コロナ禍の今、世界中の18歳から24歳までの若い人を中心に精神的な不安やうつの症状が出ていることが知られています。アメリカでは自殺願望が昨年と比較して3倍に増えているという研究結果もあるようです。

 複合災害が起こると、精神的な不安やうつの傾向がさらに顕著になる可能性があります。一人暮らしで、会社以外のコミュニティに参加していないような若い人たちに多く見られる傾向ですが、テレワークの状況下ではこうした世代に対して積極的なケアを行いましょう。

 マネジメント層はビデオ会議を通じて、彼らの健康チェックと併せ、不安や気持ちが塞ぐようなことはないか、メンタル面にも気を配ってください。「いつもあなたのこと、心配しているよ」という声掛けも効果があります。メンタルヘルスを維持する4つの要素、(1)健康的な食事、(2)活動的かどうか、(3)十分な睡眠が取れているか、(4)社会とのつながりがあるか、について尋ねてみましょう。もし状況が良くないようであれば、カウンセラーなどの手配を含め、専門家に相談できる流れを作ってください。

(6)危機管理事務局の作業と訓練の見直し

 コロナ禍で複合災害が発生した場合は、従来よりも多くの作業が必要になります。対策本部の事務局作業だけ捉えても、あらかじめ決められた会議室(対策本部室)に集合するよう声掛けするだけでなく、リモート会議を行うホストとしての役割、通知、システムの制御、リモート会議での司会など、従来にはなかった作業を行う必要があります。

 こうした点については、想定される事態に備え、シナリオベースのシミュレーション訓練が重要です。訓練を行えば、足りない部分や必要な追加作業が見えてきます。withコロナで従業員の感染拡大(クラスター)防止も考慮した訓練を今年の秋、ぜひ行ってください。

(プリンシプルBCP研究所 所長 林田朋之)