「正露丸」の大幸薬品が出した除菌剤が大ヒット
株価も年初来安値から2.7倍の急騰
コロナの感染拡大に伴い、株価が急上昇した医薬品メーカーの一つに大幸薬品がある。8月20日には2928円の上場来高値(調整後)を付けた。年初来安値からは2.7倍の急騰となる。大幸薬品の社名は知らなくても、主力商品であるラッパのマークの「正露丸」はご存じだろう。
8月12日に発表した第1四半期(2020年4?6月)決算は、前年同期比13倍超となる約28億円の営業利益を達成したが、けん引したのは正露丸ではなく、「クレベリン」という除菌剤だった。二酸化塩素分子を発生させ、空間に浮遊するウイルス菌を除去する製品で、自宅のリビングや寝室に置いて使用するタイプから、携帯に便利なスプレー型やスティック型までそろっている。
通常なら、インフルエンザが流行する冬に売れる商品だが、今期は4~6月で前期の約半分の40億円を売り上げ、閑散期の夏場に入っても売れている。大幸薬品はクレベリンの生産能力向上のため新工場の建設を計画中だが、果たして、今後も需要拡大は続くのか。
「コロナの感染拡大で、消費者の衛生意識は高まっている。今後、国内ではオフィス、ホテル、車の中などでの使用を提案して拡販を狙う。そして、競合商品のない海外での展開も検討している。特に正露丸の知名度が高い中国、香港、台湾で販売チャネルを広げていきたい」(中條亨・大幸薬品企画・IRグループマネージャー)
コロナが直撃した今期決算で、利益を伸ばす企業はどこか。過去の利益の推移や財務体質でふるいにかけ、今期の予想営業利益の伸び率が高い順にランキングを作成した結果、前述の大幸薬品は2位の伸び率になった。ランキングの上位10社だけ見ても、うち8社が8月に上場来もしくは年初来の高値を更新している。