業績が右肩下がりの高配当株は
目先の配当利回りが高くても買ってはいけない
個人投資家に人気がある高配当株でも、今期、減配や無配に転落企業する企業は少なくない。冒頭で挙げた日産の配当利回りは2019年初めに6%超まで上昇したが、これは業績の下方修正を織り込んで株価が下落した結果である。今期は無配に転落して、株価は2年半で3分の1程度まで下落した。
仮に日産株を5年前に100株購入した場合、5年間の受取配当金の合計は1万6800円になるが、株価下落による損失は8万円ほどになる。同期間の日経平均株価は20%以上上昇している。
減益トレンドの高配当株への投資は危険ということだ。日産のように業績の低迷が続けば減配を余儀なくされ、さらに株価が大きく下落するリスクもある。
中長期で高配当を享受でき、株価が値下がりしにくい銘柄を選ぶには、業績が右肩下がりではないことが大前提。今特集では、直近8期のうち5期以上で増収、増益をしている企業を対象に、安定高配当株ランキングを作成した。頻繁に売買せず、着実に資産形成を狙うなら、要注目である。
このほかにも、「週刊ダイヤモンド」9月12日号では、最新の決算数値や収益予想をもとに、攻めにも守りにも強い「高ROEランキング」、上方修正が期待できる「業績進捗率ランキング」などを掲載しているので、投資の参考にしてほしい。
(ダイヤモンド編集部論説委員 田中久夫)