しかし、テスラはこれまで試行錯誤を繰り返し、業績面でも赤字が続いて資金繰りの不安がいつもささやかれていた。2017年12月期のキャッシュフロー(純現金収支)は、過去最大の41億4200万ドルの赤字に陥ったほどだった。

CO2排出枠の売却収入が
黒字化の要因

 テスラ躍進の要因は米工場の生産ラインの改善に加え、先述したように、2019年末から稼働開始した中国・上海の現地生産化にある。やはり、EV市場として現状有望なのは米国と中国だ。テスラのEV累計生産台数が50万台を突破するまで約15年を有した。だが、2倍の100万台に達したのはそれからわずか1年3カ月後だった。

 もっとも、課題もある。現状ではCO2排出枠の売却収入が黒字化の要因となっており、本業のEV販売増によるものでないことが懸念材料だ。

 そもそも米国ではカリフォルニア州などで車を販売する際、排出ガスを出さない「ゼロエミッション車(ZEV)」を一定比率以上とするよう義務付けられている。これを守れない場合、他社からクレジットを購入しなければならない。

 テスラの4~6月期は、このクレジット販売が大きく伸びた。自動車事業の売り上げは、前年同期比4%減。その一方で、クレジット販売が21%増。つまり、排出権販売がもたらした黒字ともいえるのだ。

 とはいえ、EV市場での存在感は大きい。

 2019年のEV乗用車の世界販売台数は167万3654台にとどまる。このうち、テスラは22.3%とEV世界シェアで圧倒的な首位に立つ。さらに、今年前半(1~6月)の中国EVシェアでテスラは中国現地EVメーカーのBYDなどを抜いて首位となっている。