菅義偉氏
安倍首相の後を継ぐ新リーダーには、アベノミクスが遺したいくつもの「宿題」をこなすことが求められる。取り組むべきポイントは何か Photo:Tomohiro Ohsumi/gettyimages

「菅政権」発足は確定的か
市場はおおむね現状を好感

 安倍総理大臣の辞任を受けた自民党総裁選挙は14日に行われ、17日に新政権が誕生する見込みだ。しかし情勢はすでに「菅氏(現官房長官)当確」と伝えられている。

 その理由は第一に、総裁選出の方式として、通常時の方式とは異なり、両院議員総会が採択されたことだ。前者の場合は自民党の国会議員票(現在は394)と同数の地方票の合計788票を争うものだが、後者は国会議員票と都道府県連票(141)の合計535票を争うものだ。地方票に強い石破氏に有利とされる前者の方式は採用されなかった。

 第二に、菅氏が自民党内の主要派閥の支持を取り付けていることだ。細田派、麻生派、竹下派、二階派、石原派が菅氏を支持しているとされている。議員票だけで総票数の過半数に迫る票数が獲得される見込みだ。

 金融市場はおおむね安心感をもって、この情勢を受け止めているようだ。安倍総理の辞任報道を受けた市場の初期反応は、株安、円高、債券安とおおむねネガティブなものであった。

 市場の懸念は2つに大別される。第一は不確実性の増大だ。アベノミクスは、大規模な金融緩和と機動的な財政政策によって、経済の拡張路線を選んだ。その路線の継承可否に関する不透明性が、市場の動揺を誘った。

 第二が、安倍総理の政治手腕への評価だろう。主要国間では際立って長い任期を務めた首脳の1人である安倍総理の内政調整手腕、ならびに外交能力は、市場で高く評価されている。前者は機動的な財政政策の発出、後者は貿易交渉並びに通貨交渉において、日本経済・金融市場の防波堤の役割を果たしてきた。

「菅氏当確」の機運は、官房長官として長年安倍政権の屋台骨を担ってきた人物による政権の継承が、アベノミクスの基本路線の継続を市場に期待させたとみて良いだろう。