ANAがこのタイミングで男性CAの採用に踏み切った背景には、「時流があった」と川本氏。

「時代は今、ダイバーシティ&インクルージョン。つまり、多様性をお互いが受容していこうという流れが起きています。こうした変化に、企業も当然適応していく必要があります。ANAが男性CAを採用したのも自然な流れだったと言えるでしょう」

 また、今後は少子高齢化がさらに進み、どの企業もこの先の採用が難しくなっていくことは明らか。人気業種の航空会社でも、男性と女性を分け隔てなく採用することで人員を増やしていかなければやっていけないという切実な事情もあるだろう。

深刻な人材不足は
航空業界にも

 さらに川本氏は、CAの働き方そのものが変わったことも、男性CA採用の一因だと言う。

「今でこそ女性の社会進出は当たり前になっていますが、その昔は、女性が社会に出て仕事をするのは、結婚するまでの腰掛けだと思われていた時代がありました。そんな時代の中でもCAは特殊で、女性でも長く続けていれば管理職まで上がれるキャリアプランがすでにありました。他の職業に比べたら、かなり進んでいたんです」

 とはいえ、多くの場合、結婚や出産といったライフステージの変化によって、女性CAは辞めざるを得ないケースがほとんどだった。明確なキャリアプランはあるが、実際にそこまで上り詰めるのは一握りで“一生勤め上げる仕事”とは言えなかった。

 それが現在では、時短勤務や育休・産休の取得などサポート体制が整えられ、結婚・出産しても仕事を続けることが可能になった。CAは“生涯続けられる仕事”へと変わったのだ。

「かつてCAは女性の専門職というイメージがありました。しかし、一生涯続けられる仕事へと変わった今、男性も女性も関係ありません。実際に、LCCで働く男性CAが育休を取得した例もあります。男女共に、ライフスタイルに合わせた働き方ができるようになったのです。このように、誰もが目指せる仕事になったことも男性CA採用に至った理由の1つだと思います」