定期券を支給されていた中でこの分が自腹となれば、月約1万円(9965円)の負担感は小さくないだろう。2019年6月に公表された総務省統計局による家計調査(2018年年俸)では、年間の一般外食費が16万1488円、月あたりでは1万3457円となり、9965円はこの約75%を占める。月4回外食に行っていたところ、燃料費の負担がかさんだことで1回とせざるを得なくなれば、意気も消沈しよう。

 その上で、月に一度洗車し、この6カ月間のうち一度エンジンオイルを交換すれば、これらを含めた合計金額は6万8243円となる。

 この試算や額は、企業が支給を検討するべき理由となる。1カ月当たりでは約1万1374円となり、算定上の片道通勤距離(39.50km/2=19.75km)に応じた区分である「片道15km以上25km未満」の非課税限度額(1カ月1万2900円)との間の乖離も大きくない[図表3]からだ。

喚起された新たな
マイカー通勤ニーズ

 実際の通勤時には、勤務先等に駐車場がない場合に駐車場代の負担までが求められることとなる。都内中心部の水道橋駅近くに勤務する中で、通勤を自家用車に切り換えた対象者からは、金銭面の負担だけでなく、時間貸し駐車場自体が少ないため早い者勝ちの取り合いとなっているという悩みも聞く。

 その一方で、これらを裏返せば、新たなマイカー通勤のニーズが喚起されたともいえる。図表1作成時に出典とした調査では、テレワーク実施状況を業種別にも算出しており、実施に当たっての業種別のテレワーク導入のハードルの高さをうかがうことができる。

 公表された11業種のうち、全体から実施状況を差し引いた非実施割合が2/3を超える4業種に、2019年の就業者数平均を乗じた「テレワークを実施していない就業者数」は約1850万人と試算できる。

 このうち1%が自家用車通勤に切り換えただけでも約18.5万人となり、図表2上の燃料代を乗じた経済効果は、半年間で約110億円に達する。これだけで、計算上は令和2年度補正予算で手当てされた「ウイルス等感染症対策技術の開発」の額に匹敵する。就業者全体の1%が切り換えれば、約263億円だ[図表4]。