本書の要点

(1)コーチングとは、会話によって相手の優れた能力を引き出しながら、前進をサポートし、自発的に行動することを促すコミュニケーションスキルを意味する。
(2)コーチングでは、相手に指導・命令するのではなく、相手のありのままを受け入れ、潜在する答を引き出す。コーチは自分の気持ちを出発点として相手を承認するIメッセージを使うことが有効だ。
(3)コーチが「相手は主人公だ」という意識で質問や承認を行えば、相手は自分自身をより深く見つめられ、有意義で充実した人生を送れるようになる。

要約本文

◆コーチングとは何か
◇コーチングの効果

 あなたが管理職の立場にあるとする。部下が船、そして目標を島だと仮定してみよう。船が置かれている現状を部下自身で認識できるようにし、不安を軽減して、目的の島までの航海をサポートするのが「コーチ」である。コーチングとは、相手という船が目的の島に最短の航路で向かうために効果的にサポートするコミュニケーションスキルだ。

 コーチングによる効果の一つは、「相手にとって『話を聴いてもらいたいひとになれる』ということ」である。部下にとって「話を聴いてもらいたいひと」になれたらどうか。部下は自ら錨を上げ、たとえ逆風でも広い海原へと進み、自分で判断できる能力を備えるようになるだろう。部下が発揮する能力は、「いい気持ちで働けるサポートができるかどうか」というあなたの管理職としての能力にかかっている。

 船のナビゲーションは航海の専門家にしかできない。だが錨をもちあげるための安心を生み出すことは、コーチングによって誰でも行えるのだ。

 組織でコーチングを行う場合、管理職がコーチングスキルだけを学んでいても成功は難しい。同時に自分のインターナル環境(内面的環境)のトレーニング、すなわち意識改革に取り組む必要がある。上辺だけのコーチングスキルでは部下を操作することになり、成果を出せなくなるからだ。

 本書の目的は、コーチングの両輪である「コーチングする側がどのようにスキルの研鑽を行うのか」と、「コーチはどのようにインターナル環境を整えるのか」を紹介することである。