よりザッポスらしくあるために従来の組織に別れを告げよう

 この会社でうまくやってきたことを、もっと追求したいと思いました。私たちの歴史の大部分が証明してきたように、すべてがうまく機能しているときは、売上げの数字が自然とついてくるものです。

 しかし、私はザッポスに、より人間的な約束を果たしてほしいと思いました。私たちのコア・バリューの重要性を増幅させ、そのサポート力を高めること。受ける側も提供する側もすべての人にとって、最高のカスタマー・サービスとカスタマー・エクスペリエンスを提供すること。

 私たちの大きな目標の一つが、本当の自分らしく仕事に取り組み、仕事と個人の生活をより円滑に融合させることなら、これまで以上にそれを実現するにはどうすればいいのでしょうか。

 アマゾンによる買収やラスベガスのダウンタウンへの移転を通じて、私たちがある程度のレジリエンスを身につけたことが証明されたのなら、レジリエンスのある人々をどのように結集させ、より明るい未来に向けて背中を押すことができるでしょうか。どんな変化が訪れても成長し続けるには、どうすればいいのでしょうか。

 残念ながら、そのような変化は目の前に迫っていました。2014年を前に、私たちは逆風にさらされていました。市場は変わり続け、競争相手は勝負のステージを引き上げました。2009年にアマゾンとの買収契約が完了して以来、初めて、私たちは次の四半期に売上げと利益が減少する可能性がありました。

 私たちに求められているのは、長期的な思考をやめて、短期的な日常の業務に集中することでしょうか。ザッポスをここまで強くした社員の解雇に踏み切ることでしょうか。支出を切り詰める? 数字をよくするために規模を縮小する?

 どれも正しいとは思えませんでした。

 私たちは、私たち全員の長期的な利益のために、前進を続けたかったのです。それこそ、常に私たちの目標でした。

 私たちが出した答えは、社員の自主性をさらに高めるために、大きな変革を行うことでした。従来の管理職モデルを取り払って、これまで以上に、社員が会社のために自由な意思決定を行えるようにするのです。

 古い組織管理の体制を捨てて、新しいものを導入するのです。

 ザッポスを都市のような自己組織化のシステムに移行させるのです。

 こうして2014年1月、私たちは正式に、自己組織化への第一歩を踏み出しました。ホラクラシーを導入したのです。