ザッポスをレジリエンスを持つ都市のような組織に

 企業を時代とともに進化させて、何十年も存続させるためには、どうすればいいのでしょうか。どのような種類の組織を手本にすればいいのでしょうか。地球上の大半の企業より長生きしてきた組織や有機体とは、どのようなものでしょうか。

 私は数多くのビジネス書や文献を読んできました。その多くはザッポスの図書館で社員と共有しています。私は幸運にも、このような疑問を持つようになってから、とても興味深いCEOや創業者、あらゆるタイプの研究者と時間を過ごしてきました。彼らを招待して、社員に話をしてもらうこともあります。そして、あらゆる研究と検討を経て、人間組織の最適のモデルは都市だと考えるようになりました。

 都市にはレジリエンスがあり、それなりの規模があって、時の試練に耐えて変わらないという意味でも、大規模な自己組織の理想的な手本という意味でも、最適なのです。

 都市は繁栄し、数百年、数千年と続くこともあります。帝国や国が崩壊しても、偉大な都市は生き残ります。

 それはなぜか?

 進化しているからです。絶えず進化しているからです。そしてほとんどの場合、都市は自己組織化します。

 市長は市民に、あれをしろ、ここに住めと、直接、指示することはありません。特定の企業を設立するかどうかや、どのように経営するかを決めることもありません。1つの都市に、同じビジネスをしている企業が複数あってもかまいません。同じ地域に集中するときもあるでしょう。これは典型的な企業の考え方とは矛盾します。企業は、重複する仕事は「効率的」ではなく、「効率化」のためには「合理化」が必要だと思い込んでいます。

 ただし、効率性の追求は代償を伴います。安定性や効率性は、どちらも簡単に測定できます(少なくとも、ほかの要素より測定しやすいでしょう)。これらの数値を向上させようとするときに、犠牲になるのは、たいていレジリエンスです。しかし、レジリエンスは、企業にとって長期的に重要なものです。あらゆる組織にとって重要なのです。

 より典型的なヒエラルキー型の企業環境では、1つのことが効率的になって改善されると非常にうまく機能しますが、世の中が変わる、競争が変わる、あるいは技術が変わると、機能しなくなります。レジリエンスや多様性、都市のような機敏さを維持する力がなければ、かつては偉大だった企業やレコード会社やテクノロジー企業も、一夜にして全滅するでしょう。

 ザッポスには、そうなってほしくありません。

 時の試練に耐えるために、ザッポスをトップダウンのヒエラルキー型の組織ではなく、都市のように運営する形に変えることはできないだろうか。

 2014年を前に、私はそう考えていました。