「速く読みたい」「効率的に読みたい」「読んだ内容を覚えておきたい」など、速読&記憶術ニーズは読書術にはつきものですが、『理系読書 読書効率を最大化する超合理的サイクル』は、まったく新しいアプローチで読書における問題を解決するものです。文系が知らない、理系ならではの学習サイクルを読書の応用したもので、読書の本質に迫った「理系脳読書術」です。読書におけるインプットの重要性や、インプットすべき質の高い情報とは何か? 問題解決を図る読書の在り方を紹介します。

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何のために、本を読んでいるの?

「君は、誰の何のために、本を読んでいるの? 今最優先すべき学びは、目の前にいる生徒たちに貢献するものでなければならないんじゃないの? そうでないと、誰からも何の評価もされないよ。今のままだと的はずれで頭でっかちな人間になってしまうよ」

 この言葉は、予備校講師の大先輩である成川博康先生が、駿台予備学校に入社して2年目の頃に、私の読書法について指摘をしたときの言葉です。

 現在、成川氏は映像講義を含め一週間に8万人以上を教える予備校業界トップの河合塾の英語講師で、私のメンターでもある人です。

 当時、世間知らずで、社会人としてのスキルが低いことを自覚していた私は、とにかく勉強が必要だと思い、書店に行ってさまざまな本を買いあさり、読書に励みました。

 なかでもよく読んでいたのが、経営コンサルタントの方が書かれた経営ノウハウや仕事術などの本です。ビジネスパーソンとして未熟だった自分にとって、経営コンサルタントという職種の方は、万能なスキルを持っていて仕事ができる人の頂点にいる存在としてすごく輝いて見えていたのです。

 こういった読書ばかりしている私を見かねて、冒頭にある指摘をしたのでしょう。前向きに勉強していた自分を完全否定されたようで、さすがにそのときはカチンときました。ただ、後から冷静に考えれば成川氏の言うことはもっともでした。

 講師としての最大の務めは、1年足らずの間に生徒の学力を徹底的に高め、志望校に受からせること。したがって、そのために必要な知識やスキルの習得が予備校講師の自分にとって最優先のはずです。

 ビジネス書を読むことで経営や経済に関する教養は深まったとしても、自分自身の目の前に転がっていた問題の解決には直結しませんでした。私は優先順位を間違えた遠回りの読書をしていたのです。