公立校の躍進が目立つランキング

 ここではベスト50位までを掲載している。通して見ると、全国の有名公立高校の名前が多く載っていることに気づくだろう。2021年入試版「国公立100大学合格力」の一番の特徴かもしれない。私立中高一貫校が3分の1ほどしか姿を見せていないのだ。

 大きな理由は先述したようにリーマンショック後の不況が影響しているのだが、2021年から実施される大学入学共通テストを忌避する気持ちも大いに影響している。

 大学入試改革は迷走した。英語4技能は取りやめとなり、国語などでの記述式は先送りになった。本来は2年前には確定しておくはずの入試の内容が、昨年末に大きく変化したわけで、受験生が不安を覚えるのも当然だろう。

 その結果、受験生は安全第一の志願校選びに走った。実力より1ランク、2ランク下げても現役合格のためにはやむを得ない。「受験生の親を2年続けてやりたくない」という母親からのプレッシャーに、母思いの男の子は特に応えてしまったようである。

 ここ数年続いた私立大学の定員厳格化の動きも、もはや私立が滑り止めの併願対象足り得ないということで、安全志向に拍車をかけてしまった。

 新型コロナ禍に翻弄(ほんろう)された2020年だが、21年明け早々に実施される予定の第1回大学入学共通テストは、センター試験より総体的に難しくなることが予想されている。そもそも、新型コロナの蔓(まん)延具合によっては、日程も含めてどのように対応が変わるか、現時点では全く分からない。それが受験生の心にどのような影響を与えるのか。大学入試の始まりまで残り3カ月余りのいま、次回のランキングにも波乱が起きそうな予感が漂っている。