新築・中古の一戸建て市場は、一時は半減したものの、今では緊急事態宣言中のマイナス分を上回る勢いである。

 マンションについても、8月の首都圏中古マンション取引件数は前年同月比プラス18.2%、平均価格は同プラス5.3%と絶好調。都心3区(千代田・中央・港区)の中古マンション成約平米単価は過去最高を更新した。

 首都圏新築マンション発売戸数は前年同月比8.2%減だが都区部以外は大幅増で、契約率も68.5%と順調だ。

「コロナで都心居住が見直され、郊外や地方への移住が増える」「リモートワーク(在宅勤務)でオフィスの空室率が高まる」といった言説も、現実のものとはならなかった。

世界的に割安感がある
日本の不動産市場

 日米欧が協調する形で大規模な金融緩和が行われ金融システムが維持されたことで、コロナによる経済的打撃が相対的に低く、かつ、空室率が低くて割安感のある、日本の不動産を物色する動きが活発化している。

 とはいえ、投資マネーが向かう先は東京を中心とした大都市などが中心。価格帯でいえば100億円以上といった、ある程度のロットの不動産に限定されるためだ。

 アベノミクス以降、国内不動産市場は「(1)価値維持ないしは上昇(市場全体の15%)」「(2)緩やかに下落(同70%)」「(3)無価値(同15%)」と極端な三極化が進行してきた。この先、(1)の不動産市場だけは、1980年後半以降にみられたバブル的な局面に突入する可能性もある。

 ここでいう「バブル的」とは、例えば「マイナス利回りでの取引」だ。

 90年バブル期やリーマン前のプチバブル期には不動産の買いが買いを呼び、得られる賃料を勘案すると利回りがマイナスとなってしまう価格帯での取引が散見された。その理屈は「賃料上昇は後からついてくる」といったもの。

 今後、なかば実体経済を無視する形で、世界的に見ても相対的に割安感のある日本の不動産が、国内・海外マネーの標的になる可能性がある。