マスク着用の有無や、旅行や外食などの外出について、どこまでが「アリ」でどこからが「ナシ」なのか、各自の判断に任されている。今、気になるのは隣人がどこまで気にする人なのか、ということだ。(フリーライター 武藤弘樹)
相手の自粛意識はどの程度?
始まる探り合い
以前の記事で、ママ友付き合いに悩む女性(以下Aさん・37歳女性)の声を紹介した。「みんなそれぞれ自粛意識が違うので、コロナ禍以降は、相手と会話する時は自粛の線引きがどこにあるのかをまず探る必要がある」というものである。
これは、探りで得た情報をもとに対人関係で下手をこかないようにしようというのがそもそもの狙いである。Aさんのケースなら、周囲のママ友たちに自粛意識に関するところで悪く思われたら「わが子の保育園生活に支障をきたしてしまうかも」「今後のママ友付き合いが不穏になるかも」という心配がある。たしかにコロナ禍以降、相手の地雷探りはママ友付き合いに限らず、対人コミュニケーションでちょいちょい用いられるスキルとなった。
遠慮が必要ない相手や、自分のキャラを確固として打ち出す強い精神の持ち主には探りは必要ない。夜の繁華街を飲み歩きまくっている知り合いは(それでも本人なりの自粛意識に基づいた店選びが行われるなどはしているようだが)、「自分はこうだ」と開き直って泰然としている。こうしたスタンスは探りの気苦労がないのでその点では楽だが、摩擦・衝突・陰口といったリスクを背負った上での“楽”である。できれば平穏無事に生活したい平均的日本人としては、場合に応じて探りを発動してうまく立ち回りたい。
では、うまい探り方にはどのようなものがあるか。いくつかのケースを参考にしつつ、その理想形を探って参りたい。