もともと育児は重労働だが、コロナ禍でそれぞれが自粛を強いられ、外で遊ぶこともままならない中ではなおさらである。あるアンケートによれば、コロナ禍の子育てに「困りごとはない」と回答した母親はわずか13.3%だったそうだ。育児分担が叫ばれる中とはいえ、いまだ育児の負担は母に偏りがちだ。(フリーライター 武藤弘樹)
育児の負担割合が大きい妻
自粛でさらに苦しめられる
自粛で多方面の人たちの生活が大変なものになったが、お母さん方はその筆頭である。学校や保育園が再開され始めた今は以前よりマシかもしれないが、特に緊急事態宣言下での育児は相当の試練であった。「子どもと長い時間を一緒に過ごせる」と考えれば悪くなさそうにも思えるが、停滞した状況が続けば親と子の双方にストレスがたまるので、単純に歓迎できるものでもない。
近年では、共働き世帯の増加などの諸要因によって価値観の見直しがなされつつあって、「家事・育児は母親がやるもの」という決めつけが常識として通じなくなってきてはいる。しかし、家事、特に育児の負担割合は妻の方が大きいという世帯が多いのが現実である。総務省の「平成28年社会生活基本調査」によれば、6歳未満の子どもを持つ夫婦の育児時間は、2016年で妻が225分、夫が49分となっている。単純に育児時間だけを見ても、妻は夫の4倍以上の負担を背負っているわけである。
夫の家事・育児時間は年々微増してきているので、今後は妻側の負担が軽減していくことが期待されるが、未来への期待は期待として、現時点では妻サイドの方が大変なのは事実であり、そこに今回コロナ禍がのしかかっていった。その苦労はいかばかりか。
ママたちの苦労の声は、ちまたでいくつも聞くことができるが、本稿なりの切り口でこれをピックアップしてみたい。