ダイキン工業が、17年ぶりにルームエアコンで国内シェア1位を奪還しそうだ。空調機メーカー世界最大手ながら、実はルームエアコンでは紆余曲折を味わったダイキンは、なぜ今、その“課題の製品”でパナソニックを追い上げられたのか。(ダイヤモンド編集部 新井美江子)
エアコン世界最大手なのに
苦杯をなめてきたルームエアコン
「上期の販売状況から見て、ルームエアコンでシェア首位に手が届くところまで来ている」
10月14日、舩田聡・ダイキン工業空調営業本部長は「相手もあることなので独りよがりになってはいけない」と慎重に前置きしながらも、自信をにじませながらこう宣言した。
ダイキンは昨秋、「20年度にルームエアコンで国内シェアナンバーワンを目指す」という目標をぶち上げていたが、いよいよこの“悲願”達成が射程圏内に入ったということだ。実現すればパナソニックを抜き、2003年以来、実に17年ぶりの首位奪還となる。
「ナンバーワンになれたら営業はそれこそ、泣いて喜ぶんじゃないか」。社員がこう期待するのも無理はない。ダイキンは世界最大手の空調機メーカーであるにもかかわらず、ルームエアコンでは苦杯をなめてきた長い歴史があるからだ。1951年に空調機(冷凍機を除く)事業に参入して以来、圧倒的な強みを持つのはオフィスや飲食店向けなどの業務用エアコンの方で、ルームエアコンはパナソニックなど家電メーカーに苦戦を強いられてきた。