『在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン』
外国人が日本で暮らすにあたっての大きな課題として、「言語コミュニケーション」の問題が挙げられる。世界の言語の中でも日本語の習得は特に難しく、行政は多言語による外国人対応を心がけているが…。
「国においては、これまでも多言語化への取り組みを進めているところです。それに加えて、いま、出入国在留管理庁(以下、「当庁」)では、『やさしい日本語』の普及に努めており、FRESCもその一翼を担っています。外国人と会ったら、『とりあえず、英語を使ったほうがいいだろう』と、私も考えてしまいますが、日本に住んでいる外国人の多くは日常会話程度の日本語を話せますので、英語よりも、わかりやすい日本語で話してもらったほうがありがたいという調査結果があります。
そこで、行政機関でよく使われがちな難しい日本語をどのように書き換えれば(言い換えれば)わかりやすくなるのかを専門家の方々にもご指摘いただき、本年8月に当庁と文化庁において『在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン』を取りまとめ、法務省ホームページの『外国人生活支援ポータルサイト』などで公開しています。
同ポータルサイトでは多言語とやさしい日本語の2つの方法で発信していますが、さまざまな国の方々がいる状況において、やさしい日本語の使用と普及に努めたいと考えています」
受け入れ環境の整備をはじめ、在留外国人の就労・生活支援で多文化共生社会の実現を目指しているFRESCだが、さしあたっての課題や目指すべきゴールはあるのだろうか?
「FRESCには、在留資格や就労・労働などについては一定の権限を持つ機関がありますが、相談内容によっては、FRESC内の機関では対応ができず、外国人が居住する自治体との連携が必要になります。特に、FRESCヘルプデスクには地方で暮らす外国人からの電話もあるので、該当の自治体へのつなぎ方に気を配っています。
国でも自治体でも、大切なのは関係者間の情報共有だと考えます。FRESCは関係省庁の担当者たちがワンフロアにいるために物理的にも連携しやすいので、いろいろな実例が出てきます。FRESCでのこの取り組みが、他の機関間での連携の取り組みの参考になるようにできるといいと考えています」