コロナ禍が清水建設の「外国籍従業員」にもたらしたこと

新型コロナウイルス感染症の拡大は、企業で働く外国人にも大きな影響を与えている。総合建設会社・清水建設にも多数の外国籍従業員が在籍し、“シミズ・メンバーズ”として仕事に向き合っているが、その現状はどうなっているのか? 同社・人事部ダイバーシティ推進室の西岡真帆室長に、ウィズコロナ&アフターコロナの“多様な人材”の在り方と変化を聞いた。(ダイヤモンド・セレクト「オリイジン」編集部) 

*本稿は、現在発売中のインクルージョン&ダイバーシティ マガジン 「Oriijin(オリイジン)2020」の記事「清水建設のダイバーシティ推進と外国籍従業員」に連動する、「オリイジン」オリジナル記事です。

コロナ禍によるイレギュラーな新入社員研修

  礼拝室(プレイヤールーム)があり、社員食堂のメニューにはハラル関連の食材表記もある――従業員数1万人強の清水建設(本社・東京都中央区)のダイバーシティ推進を語るうえで、外国籍従業員の存在は欠かすことができない。まずは、人事部ダイバーシティ推進室の西岡室長に、2020年度4月入社の外国籍従業員の動向を尋ねた。

 「中国・韓国・マレーシア…など、今年は17人の外国籍の方が入社しましたが、コロナ禍のため、新入社員の研修はすべてオンラインでした。みんなが出社できず、ホテルの個室でスマホ画面に向き合うスタイルで、同期(入社社員)のネットワークもなかなか作れず、先輩社員にもオフラインでは会えない状況が続きました」

 清水建設は、文系・理系の学生を問わず、日本人と同じ基準で外国籍人材を採用し、戦力として育てていく(新入社員の研修プログラムも日本人と外国人の差異はない)。結果、外国籍の従業員はあらゆる職場で活躍しているのだが、今年は新入社員研修を終えても、配属先に足を運べない人も多かったという。

 「昨年までは、4月からゴールデンウイーク明けまでの集合研修が終わると、各部門に配属されて実践的な研修に入っていたわけですが、今年は地方支店に移動することができなかったため、東京でテレワークを続けていました。図面や契約書を読み込んだり、技術系のプログラムを視聴したり、資格試験の勉強をしたり…と、日本人と外国籍のそれぞれの新入社員が例年にない時間を過ごしていました。今年度は国際支店への配置はありませんでしたが、海外勤務になっても渡航することができない状況で、国内(地方支店の配属)においても移動のハードルがあったのです」

コロナ禍が清水建設の「外国籍従業員」にもたらしたことPhoto by K.SUGASAWA

清水建設株式会社
人事部ダイバーシティ推進室長
西岡真帆

1995年4月、土木系総合職として清水建設に入社。都内の道路トンネル現場で施工管理を経験後、土木本部にてシールド関連の技術開発を担当。2001年から約13年間、土木技術本部にてコンクリートの専門技術者として全国の現場を支援。2011年に課長職に昇進。その後、コーポレート企画室経営企画部に異動し、2015年より現職。日本建設業連合会「けんせつ小町委員会」職場環境整備専門部会長。