一人ひとりの違いを知ったうえでの相互理解
労働力人口(15歳以上人口のうち、就業者と完全失業者を合わせた人口)の減少に伴い、多様な働き手とともにダイバーシティ社会が形成される日本において、在留外国人はこれからますます増えていくだろう。ウィズコロナからアフターコロナの2020年代――多文化共生の実現に向けて、日本人は外国人にどう向き合っていくべきか。
「まず、外国人には日本のことをよく知ってもらい、外国人を雇用する企業の方々をはじめとして、日本人には外国人のことを知ってもらうことが大事だと思います。その上で、外国人と日本人の区別をできるだけ減らしていくことが必要ではないでしょうか。
多くの日本人は、日本で暮らし働く外国人がどういうことを望んでいるか、何に困っているか…それを十分に把握できていないのではないかと思いますが、まずはそこを把握することが大切です。
一方で、外国人のゴミの出し方や夜に友達と騒ぐといった行為に対する、日本人からの苦情が多いと言われています。外国人には、そうした苦情があることを理解し、どうしたらトラブルにならないかを考えて行動していただく必要があると考えています。外国人自身ではわからないこともあると思いますので、地域社会などで粘り強く伝えていくことが大事だと思います。
企業においても、外国人材の定着のためには、働く上でのルールや心構えを粘り強く伝えて理解を深めてもらうことも大事だと考えます。そうしたことを通じた相互理解の上に、日本人と外国人が安心して安全に暮らせる社会が実現できるのではないかと思います。究極的には外国人を特別扱いせずに、日本人と同じ評価軸で向き合うことができるようになることが大事ではないかと思います。『この会社は自分のことをわかってくれない』という考えでは、外国人材は職場に定着しませんし、しっかり働こうという気持ちにならないでしょう。
私たちFRESCとしては、まずは外国人が、仕事、ひいては日本という国を嫌いにならないようにするために、その人自身がどういう状況なのかをしっかり把握しながら、可能な限り、一人ひとりの状況を踏まえた相談対応ができるように努めてまいりたいと思います。そうした考え方や対応が、行政分野のみならず日本人全体に広がり、一人ひとりの違いを見据えながら、配慮しなければいけないところには配慮しつつも、それが過剰な配慮にはならないようにして、外国人と共に暮らしていくことが肝心だと考えます」
※本稿は、現在発売中のインクルージョン&ダイバーシティマガジン「オリイジン2020」からの転載記事「ダイバーシティが導く、誰もが働きやすく、誰もが活躍できる社会」に連動する、「オリイジン」オリジナル記事です。