2月にEU(欧州連合)を離脱したばかりのイギリスのボリス・ジョンソン首相が、2035年までにガソリンエンジン、ディーゼルエンジンなどの内燃機関を積んだクルマの廃止に踏み切ると宣言した。イギリス資本が主導権を持つ自動車メーカーももはや存在しないのが実情。果たして実現は可能なのだろうか。いきなりそんな発表をした理由とは。(ジャーナリスト 井元康一郎)
イギリスのボリス・ジョンソン首相が
35年までにガソリン・ディーゼル車廃止宣言
気候変動を巡ってアメリカと火花を散らしている欧州。その主要国にして2月にEU(欧州連合)を離脱したばかりのイギリスのボリス・ジョンソン首相が、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンなどの内燃機関を積んだクルマの廃止に踏み切ると宣言した。
イギリスは過去にも同様の目標を掲げたことがある。デリーサ・メイ前首相が2017年に表明した、2040年に純エンジン車を廃止するというアジェンダがそれである。
だが、今回ジョンソン首相が行った宣言はそれより格段にラディカルだ。まず廃止時期が2040年から2035年へと、メイ首相の時より5年早められた。今から20年後と15年後ではコミットメント達成の難しさがまったく違ってくる。