4. メンバーの能力把握とフォロー

 業務を行う上での技能の不足については、上司からの指導だけでなく、職場の先輩や同僚などからいろいろな形で支援を受ける中で、充足させてきた。それは、同じオフィス内にいることで、その仕事ぶりから困っていることが明らかに見える状況だったからである。

 今は、そのあたりが見えにくい。上司もすべてのメンバーのスキルの充足度を完全に把握することはできない。個人の技能不足であっても、それが組織全体のゴール達成のボトルネックになり得るが、他メンバーへの関心度が大幅に低下した現状にあっては、危険な技能不足が放置されている可能性がある。この技能の過不足状況についても全体で認識しておく必要があるだろう。 

5. メンバーの業務外情報の共有

 コロナは、家族の状況をも大きく変えている。高齢者とともに暮らすメンバーはかなり神経質に高齢者の健康に留意しなければならず、また、オンライン授業で子どもがいつも家にいて三度の食事の用意をしなければならなくなったりもする人もいる。

 これらの状況変化については、皆がオフィスに顔をそろえていたときは、雑談などでなんとなく他のメンバーにも伝わり、特に公言せずとも皆が一定の配慮をしようとしたのである。しかし、毎日顔を合わせていない状況になると、こういった私的な情報についての情報交換の場が劇的に減少するため、知らずに無理な負荷を個人にかけてしまう可能性がある。

 以上のような、マクロの俯瞰的な状況把握と組織の目標の明確化、メンバーの役割分担や人間関係の調整、異常情報の共有、技能の不足と充足、メンバーの私的な事情、といった情報の多くがメンバー間で共有されておらず、これらが決定的に不足した状況となっているため、組織が機能不全になるおそれがあるのだ。

コロナ禍の組織にこそ
「じっくり忘年会」が必要である

 今必要なのは、上記のようなことを全員がフランクに語り合う「じっくり忘年会(課会)」である。

 じっくりというのは丸一日くらいかけて、上記で述べた、今までならオフィス内で話し合っていた事柄や、交換すべきであった情報を、全員で共有して、不足分を埋めるとともに、これからの方向性を暫定的に見定めようとすることである。

 この会は、本音で気軽に話す場である。感染防止に配慮の上、対面式でやる方が実効性は上がると思われるが、場合によってはオンラインでの開催も致し方がないだろう。いずれにしても、普段の短時間での効率的な会議とは異なる「ゆっくり」「のんびり」「本音」で「じっくり」話し合う場である。