日本の最大級の株式投資家が、適切なタイミングでの投資によって6兆円近い含み益を確保したと発表した。しかし、この思いがけない利益を可能にした人物がウォール街式のボーナスを手にすることはない。それどころか、これほどの株式投資をすべきではないとの批判さえ出始めた。なぜなら、この好成績をたたき出した資産運用担当者が黒田東彦日本銀行総裁だからだ。黒田氏は国民の投資意欲をかき立てるため、東京証券取引所での日銀の株式投資を推進している。これは世界各国の中央銀行の中でも異例の取り組みだ。黒田氏は3月、日銀の上場投資信託(ETF)買い入れ上限を年間12兆円へと、それまでの倍に引き上げた。3月は、新型コロナウイルスの感染拡大によって急落していた株価が急回復し始めた月だった。26日の日経平均株価の終値は29年ぶりの高値となり、今年の最安値からの上昇率は60%に達した。
日銀含み益5.8兆円、株式投資への批判も
有料会員限定
あなたにおすすめ