新型コロナウイルスワクチンの登場は石油生産国に恵みとなる。だがワクチンへの期待は、石油輸出国機構(OPEC)とロシア主導の協力国で構成するOPECプラスにとって大きな頭痛の種となっている。一部の国は財政難に陥り、国内の混乱にも直面する中で限界に達しつつある。OPECは11月30日に会合を開いた。計画していた日量200万バレルの増産を進めるか、数カ月先送りするか、もしくは小幅な増産にするかを決めるため、1日にはロシアを中心とする非加盟産油国との会合が予定されていた。市場は増産の先送りを織り込んでいた。だが各国の意見相違を解消しようと試みる間、会合は3日まで延期になった。ワクチンを巡る楽観的な見方を背景に、ブレント原油先物価格が1バレル=50ドルに近づき、交渉が複雑さを増したためだ。この価格はOPEC加盟国が財政赤字を回避するのに十分な水準ではないものの、一部の国は自主的に歳入を見送ることにいら立ちを感じるようになっている。ブレント原油は先週、一時49ドルを超えたが、OPECが30日に合意できなかったことを受けて下落し、48ドルを割り込んだ。