不動産の呪縛#7Photo by Masami Usui

「オフィス分散化」が盛り上がり、シェアオフィス市場への参入が増えている。しかし、2018年に日本へ上陸したウィーワークは、この波に乗って稼ぐには致命的な問題を抱える。それは、リモートワークが増えても、オフィスの移転や縮小を実行できない大企業の悩ましい事情に通じている。特集『不動産の呪縛』の#7では、ウィーワークや大企業を苦しめる「呪縛」に迫る。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

シェアオフィスが盛り上がっても
日本で儲けられない事情

 従来のオフィス市場は、都心の大型ビルに広いスペースを借り、バラバラになっている拠点を集約化するというのがトレンドだった。それが新型コロナウイルスの感染拡大で一転した。郊外の拠点などに分散化したり、リモートワークが一定程度定着するのを見越してオフィスを縮小する流れが生まれた。

 働き方のニューノーマルによって多くの企業がサテライトオフィスを使うようになれば、シェアオフィス市場は盛り上がる。そう期待して、参入する企業が相次いでいる。先んじて2018年、米シェアオフィス大手のウィーワークが日本に上陸し、新築ビルにどんどん出店。都心を中心に現在、36拠点まで拡大した。

 このウィーワーク、実は日本でオフィス分散化の波に乗って儲けていくには致命的な問題を抱える。それは、リモートワークが増えても、オフィスの移転や縮小を実行できない大企業の悩ましい事情に通じている。