不動産の呪縛#6Photo by Masami Usui

不動産市場ではとりわけ商業施設やホテルが冷え込んでいる。が、西武ホールディングスの後藤高志社長は、9月に所沢駅で商業施設を全面開業したのは「タイミングとしては良かった」と言ってのけ、プリンスホテルの新ブランドの全国展開も進める。特集『不動産の呪縛』#6では、かつての経営再建で大量売却・閉鎖の「峻別と集中」を断行した総帥が、コロナ禍における不動産ビジネスを語る。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

何もしなければ沿線人口は減り
運賃収入も減っていく

――埼玉・所沢を「ベッドタウン」から「リビングタウン」にするという発想は、新型コロナウイルス感染拡大前からあったのですか。

 少子高齢化が進行する中で、何もしなければ沿線人口は減っていくし、高齢化が進む。付随して運賃収入も減っていく。それに対応するためには、西武池袋線と西武新宿線が結節する所沢が重要になります。

 再開発は所沢駅東口の駅ビル「グランエミオ所沢」の1期と2期が終わり、次は西口(所沢車両工場跡地の大規模開発)です(詳細は本特集#4『西武が鉄道収入激減でも埼玉・所沢の大開発を「止められない」事情』参照)。

 この再開発をフックに定期券、それから定期券以外の鉄道利用を増やしていこうと、コロナの相当前から考えてきました。

――2014年に再上場した頃から考えてきたのですか。

 実は、(みずほコーポレート銀行副頭取だった)私が西武鉄道に来た05年当時からすでに、所沢の再開発は大きなテーマとしてあった。でもなかなか具体化できなかった。リーマンショックとか東日本大震災といったクライシスが起こり、それどころじゃなかったんです。

――グランエミオ所沢の2期開業はコロナ禍にぶつかりました。

 タイミングとしては良かったんですよ。