不動産の呪縛#5
Photo by Masami Usui

過去最悪となる630億円の最終赤字を見込む西武ホールディングス。資本増強の必要性に迫られ、子会社が優先株による出資を受ける調整が進んでいる。その一方で、プリンスホテルの新業態1号店を開業し、全国で100店にする拡大路線を進めている。特集『不動産の呪縛』の#5では、西武グループの投資余力とホテル不動産の実態に迫る。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

800億円増資を迫られる局面で
ホテル新ブランド100店戦略

 西武鉄道やプリンスホテルを擁する西武グループは、優先株で総額800億円規模の出資を受ける調整を進めている。金融機関との間で、純資産が一定水準を下回ると借金の即返済を求められる契約を結んでおり、この水準を下回りかねない状況に陥っているからだ。新型コロナウイルスの感染拡大により収入が激減し、財務基盤を強化する増資に迫られる今は、新規投資を極力抑えるべき局面であるはずだ。

 そんな中でプリンスホテルは10月、新ホテルブランド「プリンス スマート イン」の1号店を都内で開業した。これまでのプリンスホテルが宴会場などを持つのに対し、新ブランドは宿泊特化型。2022年までに静岡県熱海市、京都市、沖縄県那覇市でも開業し、30年をめどに100店まで広げる戦略を持つ。

 ホテル市場は供給過剰になっていた上に、コロナで訪日外国人客(インバウンド)が消えた。外部環境と内部環境のどちらにおいても、この拡大路線は危険ではないのか。