不動産・開発危うい狂乱#10
Photo by Masami Usui

ウィーワークに入会して高揚したのは最初だけだった。電話がかかってきたので防音の電話ブースへと向かうと順番待ちの状態。「ワークできない」と大企業社員は退会した。特集「不動産・開発 危うい狂乱」(全13回)の#10では、「ウィーワーク特需」で異変が起きたオフィス市場にスポットを当てる。

ウィーワークでは
「ワークできなかった」

 都内に本社を置くある大企業の社員は、シェアオフィスのウィーワークが日本で開業した2018年に入会した。働く場所の多様化、社外の人材と交流するオフィスがどれほどのものか試すミッションを背負っていた。

 入会手続きを進めていると、社内の同僚から連絡があった。

「うちと付き合いのあるソフトバンクの社員さんがね、彼を経由して申し込んだことにしてほしいんだって」

 ソフトバンク総出で営業をしていることに驚きつつ、「目標とかノルマがあるんだな」とおもんぱかり、このソフトバンク社員経由で申し込んだ。

 米シェアオフィス大手のウィーワーク(運営会社はウィー・カンパニー)は、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長肝いりのビジネスで、ソフトバンクGが多額の出資をしてきた。前CEOが会社を私物化するなど経営体制の問題が露呈して19年秋に上場を撤回、経営立て直しのために人員削減などに踏み切っている。

 日本ではソフトバンクとの共同出資で事業を行っており、今のところリストラ、出店計画の撤回はない。日本で約30拠点を構え、引き続き計画通りに開業を続けるようだ。

 そんなウィーワークを冒頭の大企業社員は、約半年で退会した。ウィーワークでは「ワークできなかった」からだ。