単なる「福祉現場への救済ではない」ストアの展開

 ダイバーシティ&インクルージョンの機運の高まりや東京2020パラリンピックの開催予定もあり、「障がい者アート(障がいのある人の文化芸術活動)」という言葉が新聞やネット記事、SNSなどで散見するなか、「障害のある方々が作り出す、一つひとつが違う商品を扱う」というフレーズから、「再入荷未定ショップ」は、つまりは、「“障がい者アート”の販売か」と思う人も多いだろう。

 コロナ禍の今夏も、京王百貨店の新宿店ギャラリーで「感性のコラージュ 障がい者アート展」が開催され、アート作品の即売が行われた。また、上場会社のセガサミーホールディングスは、10月末に本社9階のイベントスペースで、障がい者アートを展示販売する「Art of The Rough Diamonds(ダイヤの原石たち)2020」を東京愛宕ロータリークラブ、LIVES TOKYOと共同開催し、多くの来場者から好評を得た。

 障がい者によるクリエイティブ作品を見る健常者の目は、ともすれば、「障がいがあるのにすごい」といった偏見を持ちがちだが、こうした展示即売イベントを通じて、作者の障がいの有無を問わずに「良いものは良い。素晴らしいものは素晴らしい」といった評価の声が上がっていく。

「再入荷未定ショップ」も、そうした、「良いものは良い。素晴らしいものは素晴らしい」という目線を運営側が持ち、「福祉現場への救済ではない」という澤田理事の言葉を裏付けるように、クオリティーの高いクリエイティブ作品の商品化にこだわっている。「Fashion」「Interior」「Book」「Tableware」「雑貨」と明確にカテゴライズされ、開店時には約100品目、サイズ・色・形状違いを含め、合計300点あまりの商品が陳列された。

 また、Get in touchの東ちづるさんが商品のキュレーター的な役割を担っていることも注目に値する。Get in touchは「まぜこぜアートプロジェクト」と称して、障がいのある作家の作品展示会を定期的に開催し、現在は、スターバックスコーヒージャパンとのコラボで、障がいのある作家たちと店舗内のアートワークを創造するプロジェクトも展開している。過去も現在も、東さん自身がアート活動を行う全国の福祉施設や作家のアトリエを訪問し続け、あらゆるクリエイティブ作品に向き合っているのだ。

商品紹介商品名:ステンドランプ
作家名:大橋直行
所属施設:工房集
情報提供:再入荷未定ショップ