株式公開にはデメリットもある
カノン 今度は自己資本について聞きたいのですけど、株主が振り込んだお金は株主には返金できないし、無理して配当する必要もないということでしたね。でも、配当が少ないと株主は怒りませんか?
林教授 世の中には、脇の甘い会社の株式を買いあさり、高額配当と株価の引き上げを迫る投資家がいる。配当が少ないとこういう人たちは間違いなく怒りだすね。
カノン うちの会社のように上場していなければ、そんな人たちに目をつけられることはないんですよね。
林教授 そうだね。最近、大塚家具や芝浦機械(旧東芝機械)の経営者が大変な思いをしているのは、株式を上場しているからに他ならない。上場するということは、会社を公のものにすることだから、経営者の思い通りにはならないことは多々あるんだ。
カノン 株式公開すると、会社にはお金が入って、創業者はお金持ちになるって聞きましたけど、考えものですね。
公認会計士、税理士
明治大学専門職大学院 会計専門職研究科 特任教授
LEC会計大学院 客員教授
1974年中央大学商学部会計学科卒。同年公認会計士二次試験合格。外資系会計事務所、大手監査法人を経て1987年独立。以後、30年以上にわたり、国内外200社以上の企業に対して、管理会計システムの設計導入コンサルティング等を実施。2006年、LEC会計大学院 教授。2015年明治大学専門職大学院 会計専門職研究科 特任教授に就任。著書に、『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』『美容院と1000円カットでは、どちらが儲かるか?』『コハダは大トロより、なぜ儲かるのか?』『新版わかる! 管理会計』(以上、ダイヤモンド社)、『ドラッカーと会計の話をしよう』(KADOKAWA/中経出版)、『ドラッカーと生産性の話をしよう』(KADOKAWA)、『正しい家計管理』(WAVE出版)などがある。