累計38万部超のベストセラー餃子屋と高級フレンチ』シリーズでおなじみの著者・林 總氏の最新刊『たった10日で決算書がプロ並みに読めるようになる! 会計の教室』が9月29日にダイヤモンド社から発売になりました。本連載では、同書の中から抜粋して決算書を読み解くために必要な基本の知識をお伝えしていきます。登場人物は、林教授と生徒の川村カノンの2人。知識ゼロから始めて、いかにして決算書を読み解くスキルを身につけていくのか? 川村カノンになったつもりで、本連載にお付き合いください。

対比思考Photo: Adobe Stock

バランスシートのメカニズム

林教授 貸借対照表は英語ではバランスシートだ。バランスとは天秤のことだが、なぜこう呼ばれるのだろう?

カノン えっ。そんなこと、考えたこともありません。

林教授 では、語源から探ることにしよう。天秤は知っているね。なぜバランスシートと呼ばれるかというと、左右の金額が天秤のお皿のように均衡しているからだ。

カノン でも、天秤をバランスさせるには、分銅をお皿に載せますよね?

林教授 なぜ、分銅を使うのだろうね?

カノン 重さを量るためではなかったでしょうか。

林教授 そうだね。左右のお皿に同じ重さのモノが載っているとする。この場合、天秤はどうなっているかな。

カノン バランスします。

林教授 では、何らかの理由で左のお皿が重くなったとしよう。増えた重さはどうしたら分かるかな?

カノン 右のお皿に分銅を載せて、重さをこまめに調節すればいいと思います。

林教授 そうだね。では、貸借対照表に戻ろう。この左右の金額は常に同じになる。なぜなのだろうね。

カノン 貸借対照表を作る人が、左右の金額を調整しているからではないでしょうか?

林教授 違うんだよ。貸借対照表に備わる特別な働きで、自動的に調整されるんだ。これが複式簿記の最大の特長なんだ。

カノン ちょっと待ってください。左の金額が増えたら、右の金額が自動的に増えるということですか?

林教授 そうだよ。