ソフトバンク#2Photo by Masato Kato

ソフトバンクグループ(SBG)の金庫番を務める後藤芳光最高財務責任者(CFO)が、創業以来最大の赤字予想を発表した後、メディアのインタビューに初めて応じ、コロナショックの対策として、財務拡大路線からの「撤退」を宣言した。特集『ソフトバンク巨額赤字の惨禍』(全6回)の#2で、その詳細を余すところなく伝える。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

コロナで衝撃の世界経済の縮図が
ビジョン・ファンドの中にある

――新型コロナウイルスの影響で2020年3月期は創業以来最大の最終赤字です。19年7~9月期の損失は「ウィーワーク」を運営する米ウィーカンパニー1社の失敗が主因でしたが、今回は孫正義社長の肝いりのソフトバンク・ビジョン・ファンドが壊滅的。財務担当としてどう受け止めますか。

 これは仕方がないといえます。今の環境では当然起こり得る。ウィーワーク以外でも多くのポートフォリオで損失を出しているじゃないかというご指摘ですが、これはファンドマネジャーの目利きの失敗ではないですから。

 ビジョン・ファンドの損失が1.8兆円出たのは残念ですが、これだけの環境にもかかわらず、(17年5月に運用を開始してからの)過去3年の累計利益がなくなっただけで、ここからリスタートできます。ファンド運営としては、しっかりできている方ではないかと思います。

 われわれの資金でビジョン・ファンドに投資している約3兆円は、最初の2年の評価益が打ち消されてしまったけれど、元々の3兆円に戻っただけ。元本は残っているのでキャッシュフロー・ベースの損失はありません。

 ビジョン・ファンドの投資先がコロナの影響で傷んでいるのは一時的で、また長期にわたってパフォーマンスを出してもらうために、ビジョン・ファンドのマネジメントがしっかり取り組んでくれればいいと思っています。

――ウィーワークは12月までに損失を計上していますが、1~3月でまた評価損を出したということですか。

 まさにコロナの影響です。今や(ウィーワークの本社がある)米ニューヨークは外出禁止令を出しているので、ウィーワークのシェアオフィスには人が来ない状態です。

――インドのオヨ(OYO)も、ホテルに集客できない状態だと思いますが、影響はどうでしょうか。