アメリカの消費米国でコロナ禍前より個人所得が大幅に増えるという奇妙な現象が起きている Photo:Gary Hershorn/gettyimages

コロナ禍の米国で所得が大幅増
過剰貯蓄は所得の8%に到達

 10月の米国・個人所得は同5.5%増と大幅増加が続いている。2020年4-10月の個人所得は、前年比8.4%増と2019年の同3.9%増を上回るペースで増加しており、コロナ禍前より所得が大幅に増えるという奇妙な状態となっている。

 4月から米国の個人所得が急増したのは、米政府の財政支援によるものだ。米政府は大人1人当たり1200ドル、子ども1人当たり500ドルの現金給付を実施したうえ、失業給付を増やした。失業保険は、4月から7月まで週600ドルが上乗せされ、8月以降も大統領令で少なくとも週300ドルが上乗せされている。

 所得が急増する一方で、消費は減少が続いている。10月の米国・名目個人消費は、前年比0.6%減とコロナ前の水準を回復していない。このため、個人の貯蓄率は4月に33.7%まで急上昇し、その後も高水準で推移している。

 コロナ禍で米国の個人貯蓄がどれくらい過剰に積み上がったかを試算した。2019年の平均貯蓄額を通常の貯蓄額と仮定し、2020年3月から10月までの貯蓄額のうち2019年平均を上回る分を過剰貯蓄と定義すると、米国の過剰貯蓄は個人所得(2019年)の約8%に達する。