失敗にめげない成功体験を持つこと

川原:難題ですね。僕だったら、できるだけ早く失敗させます。自分自身の経験も振り返って、「本当の成長や学びって、転んで後悔したときにしか得られない」と思うからです。人間は基本的に怠惰な生き物で、つい「今のままでもいいや」と慢心してしまいますから。

 その上で、失敗したときにはちゃんと寄り添う。「ほら、失敗しただろう」と笑って、面白がる。面白がれるというのは、その人の力を本当に信じて応援しているからできるリアクション。そこからようやく本当のプロデュースが始まって行くような気がします。

佐渡島:僕も全く同じ考えです。失敗した時に、そこから前向きに学べる人と、挑戦する意欲を失ってしまう人がいる。この両者の違いは何なのか。

 僕は才能の有無だと思っていたのですが、最近考え方が変わって「成功体験の有無」ではないかと思うようになったんです。小さくてもいいから成功体験のある人は、失敗を学びの材料と見なせるけれど、成功体験がないまま失敗すると自信を失ってしまう。

 だから、いかにして小さな成功を自力でつかんだと思える体験を設計できるかがプロデュース側の仕事。そこをいつも悩んでいるんですよ。

川原:僕は自分が用意した器の中で成長できる人としか関われていません。佐渡島さんの足元にも及ばないな。

トッププロデューサーが提唱! 素っ裸でさらけ出せば人生は楽しくなるPhoto by 竹井俊晴