大切なのは、誰と仕事をするか
川村:「誰と仕事をするか」は海外に限らず、どこでも大事ですよね。有名な大企業とコンタクトが取れたとしても、その中の誰とつながれるかで結果はまったく違ってきます。「どこと」ではなく、「誰と」組むかを重視する価値観は、とても共感します。そして卓巳さんはチームづくりがうまい。
川原:僕は、自分が得意なこと以外は、基本的に全部人に任せます。それぞれが得意なことを掛け合わせたチームが最強だと思っているので。
川村:「誰と」さえ決まれば、「何を」やるかは自然と決まってくると、僕は最近思っています。むしろあまり主体的に決めないくらいの方がうまくいく。
僕はアクティブな人間に思われがちですが、実際は受け身で、小説もアニメも「やってみないか」と誘われて、新しい能力開発のつもりで始めてみたんです。
きっと卓巳さんも麻理恵さんを間近で見ていて、「この人の魅力のまだ2割くらいしか発揮されていない」と感じて、いろいろなチャレンジを提案されてきたんだと思います。プロデューサーの役割はそこにあるんです。「あなたが生かすべき部分はここですよ」と教えてくれる存在になること。
川原:僕たち二人も、自分たちから能動的に何かを生み出しているというよりは、僕らをおもしろく扱ってくれる人たちとの出会いを大切にして、自分たちもときめくチャレンジだけを選択している感覚です。
その人と一緒にいるだけで全身の細胞がよろこぶかどうか。元気さんと初めてお会いした時にも、そんな感覚がありました。この人と過ごせる時間が増えると、僕らの人生がおもしろくなりそうだ。そのためには一緒に仕事をするのが一番だ、って。
川村:結局は、一緒に仕事をしないとその人がどんな人かは分かりませんよね。価値観の違いも共通点も見つかるし、違いを武器として、ブレイクスルーを一緒に経験できたら最高です。
タイミングは焦る必要はなくて、「いつか仕事ができるといいな」とぼんやり頭の中にストックしておいて、浮遊させておく。すると、読売新聞から「連載を始めませんか。斬新な企画なら何でもいいです」というオファーが来たんです。
新型コロナウイルスの影響で在宅時間が増えた流れを受けて、「家の中だけで完結する物語はおもしろいかもしれない」と思いつく。そこで、以前麻理恵さんから聞いた片づけにまつわる面白すぎる実話の数々を思い出したんです。さっそく卓巳さんに相談したら、「ときめく企画だからやりましょう」と返事が来た。そんな経緯で、今回の共同小説のプロジェクトも始まりました。
川原:はい。ときめきましたね!