――気持ちを明るいほうに向けるという「陽転思考」ですね。確かに楽しいこと、自分に合っていることはサクサク進みますから、効率的にできますよね。
はい、そうなんです。あと、まじめな人ほどスケジュールをかっちり固めて、その予定どおりにいかないと「時間をムダにしてしまった!」とか、「遅れちゃった、どうしよう!?」とか、自分の決めたことで後悔したり、焦ったりしてしまうんです。けれど、世の中は想定外のことがたくさん起こります。だからアクシデントが起こったとき、その場で判断できる力や状況によって変更できる応用力とか柔軟性が必要になるんです。
そういう力をつけるためには、どの方法でとか、どんなスケジュールでというようなことを脇に置いても、いつも目指すゴールをイメージしていれば、必ず判断力も応用力も身につきます。そうした土台ができたうえで、スキマ時間をうまく使うとかムダをなくすとかのコツを取り入れていけばいいのです。
他人のやり方に振り回されない
――少し前になりますが、朝2時とか4時とかに起きると成果が上がるというような本が流行ったり、「朝活」が話題になったりしました。和田さんも朝型だとおっしゃっていましたが、やっぱり早起きはお勧めですか?
確かに私は朝型です。前に「朝のほうが仕事効率がいい」というような話をしたこともあります。けれど、それをすべての人に当てはめていうのは反対なんです。「私は4時ラーです」「5時ラーです」みたいな言い方が一時流行ったとき、多くの人がまだ夜明け前の暗い時間に起きることを、なんとなく「エライ」というように捉えました。確かに「早起きは三文の得」ということわざがあるし、昔から松下幸之助さんとか賢人は早起きの人が多い傾向にあるかもしれない。
でも、私は人それぞれ、時間のリズムというものがあると思うのです。朝型も夜型も、もしかしたら昼型とかもあるかもしれません。もちろん、世の中は朝起きて夜は寝るというのが普通ですから、仕事が夜とかいう場合を除いては、朝は辛くても起きて動くべきなんです。
けれど、例えば夜型の人が通常7時に起きても間に合うのに無理に4時に起きようとして、やっぱり自分に合わないのでできなくて、「自分はダメだな」と自己嫌悪に陥ったりするのはまったく意味がないわけです。だから、やってみるのはいいけれど、それはあくまでも他人がやってよかった方法なのだ、と割り切っておいたほうがいいのです。