総予測#16
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2021年、個人向けの資産運用ビジネスが大きく変化する。見込まれるのは、手数料引き下げ競争の激化だ。特集『総予測2021』(全79回)の#16では、ここで個人が気を付けなければいけない「アドバイスの収益化」について解説する。(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)

「週刊ダイヤモンド」2020年12月26日・2021年1月2日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は原則、雑誌掲載時のもの。

金融商品の手数料は
さらに下がっていく

 2021年は個人向け資産運用ビジネスが大きく変化する年になろう。変化を促す要因が複数ある。

 まず、コロナ対策もあり内外共に低金利が続く。銀行は貸し出しや運用で利ざやを稼げない。外貨も金利が低下して生命保険は貯蓄性の外貨建て保険の設計が難しくなった。同商品は実質的な手数料が高く、生保・銀行双方の稼ぎの種だが、今後は拡大が難しい。低金利は証券会社の収益も圧迫する。

 次に、証券ビジネス全般で手数料の引き下げが進む。米国では19年にチャールズ・シュワブが株式売買の手数料を「ゼロ」にしたが、わが国でもネット証券大手の株式の委託売買手数料はゼロに向かう。投資信託でもノーロード(販売手数料ゼロ)が広がり、運用管理費用も、18年のつみたてNISAの導入からインデックス投信で引き下げ競争が発生して低下中だ。

 もう一つ重要なのが金融マンの余剰だ。地方銀行の経営統合は喫緊の政策課題だが、統合や合理化は行員の余剰を発生させる。また、メガバンクでも大規模な人員削減が予定され、さらに加速する。

 金利で稼げず、さらに商品から得られる手数料が下がるなら、個人向け運用ビジネスでは、顧客への「アドバイス」を収益化する以外に道がない。顧客との接点となるべき金融マンは多数余っている。